こんにちは、オハイオ州不動産仲介士の松本です。
全米リアルター協会 (NAR) のレポートによると、アメリカの初回住宅購入者の平均年齢は40歳で過去最高となりました。
この平均年齢はわずか5年前の33歳から急上昇しており、高金利・住宅価格の上昇で若年層が市場から後退する一方で、リタイア層が市場を主導しています。
初回住宅購入者の割合は21%と1981 年の調査開始以来最低水準に。一方で現金で購入するキャッシュバイヤーが26%に達し過去最高を記録。
市場は資金力のある層と若い世代の二極化が進んでいます。
住宅価格は依然として高く、2025年の平均ローン金利は約6.7%。この環境が若い世代の住宅取得を難しくしている現状が浮き彫りになっています。
初回購入者のプロフィールを見てみると、世帯年収の中央値は94,400ドル、頭金の中央値は10% (1989年以来の高水準)、頭金の原資は自己資金が59%で、金融資産は26%。
かつて頭金は親族からの贈与や借入で用意するケースが多く見受けられましたが、近年は自己資金に頼る傾向が強くなっています。これにより多くの人々が「月々の返済を抑えたい」と考え、頭金を多く用意する動きが見られます。
【購入を遅らせることで失う住宅資産】
全米リアルター協会 (NAR) の試算では、住宅購入を30歳から40歳まで遅らせた場合、約15万ドル (2,200万円) もの住宅資産差が生じる可能性があるとしています。
若いうちにマイホームを購入できないことが、長期的な資産形成に影響を与えている点が懸念されています。
一方で再購入者 (repeat buyer) の平均年齢は62歳と過去最高。住宅所有期間の中央値は11年といずれも過去最高を更新しました。
そのうち住宅を現金で購入した人は30%にのぼり、リタイア世代が豊富な資産を活用して住宅市場をリードしていることが改めてわかります。
【今後の見通し】
2025年の秋以降、住宅ローンは6.17%まで低下し、在庫も徐々に増えてきています。
これにより初回住宅購入者が市場に戻るチャンスが出てきます。
住宅の購入を考えるファーストタイムバイヤーの方は、今後金利と在庫の動向を注視しながらタイミングを見極めて行動すると良いでしょう。
今回の全米リアルター協会のレポートは、アメリカの住宅市場の「格差拡大」を象徴しています。
若い世代にとっては厳しい環境ですが、早い段階で住宅を購入できるよう今のうちから収支をしっかりと管理し、ここぞというタイミングで住宅が購入できるよう準備を整えていきましょう。




